mittlee読書と経済雑記ブログ

読書がメインのブログです。経済、社会、語学について気になったことを記載します。

消費者物価指数(CPI):東京都で40年ぶりの上昇、何が集計対象か

今回の内容

 東京都区部の生鮮食品を除く物価が、2022年12月は昨年比で4.0%の増加となった(速報値)。あんパンが18%、都市ガスが36%の上昇などと報じられている。

 物価のニュースをよく見かけるが、それは何から一体構成されているのだろうか。また、何を比べているのだろうか。

 本記事は下記の方々のために参考になるかもしれない。

 

  1. 消費者物価指数とは何か概要を知りたい
  2. データの公表元を知りたい
  3. 消費者物価指数の内訳を知りたい

 

 本記事は、日本の消費者物価指数について記載している。

 話題になっていたのは下記の記事。*1

www.nikkei.com

 

 

 

目次

 

トピック:消費者物価指数とは

消費者物価指数の定義

 消費者物価指数(CPI)は、「全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するもの」と定義されている。なお、CPIはConsumer Price Indexの略称。*2

消費者物価指数のしくみと見方 ―2020年基準消費者物価指数―:我が国における代表的な物価指数



 

データの公表元

 参考文献に記載しているが、総務省統計局が本データの出典元である。東京と全国の2種類について毎月公表される。*3

 

 消費者物価指数(CPI)の内容と利用目的は下記のとおり。

 消費者物価指数は、全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するものです。 すなわち家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示したもので、毎月作成しています。 指数計算に採用している各品目のウエイトは総務省統計局実施の家計調査の結果等に基づいています。 品目の価格は総務省統計局実施の小売物価統計調査によって調査された小売価格を用いています。 結果は各種経済施策や年金の改定などに利用されています。

統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI)

 

トピック:消費者物価指数の中身

総合指数、コアCPI、コアコアCPI

 消費者物価指数には、総合指数、コアCPI、コアコアCPIと呼ばれる3種類のものがある。用途や比較対象に応じて使い分ける。

 

  • 総合指数:消費者物価指数全体
  • コアCPI:生鮮食品(生鮮魚介、生鮮野菜、生鮮果物)を除く総合指数
  • コアコアCPI:生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数

 

 コアCPIは「総合指数」から天候に左右されて振れの大きい「生鮮食品」を除くことで、物価変動の基調をみるための指標として使われる。*4

 また、コアコアCPIは米国など海外諸国では物価の基調を把握するために同指数が利用されている。*5

 

 総務省統計局は、3つの指数を公表している。例えば、2022年11月の例は下記のとおり。*6

 (1)  総合指数は2020年を100として103.9
    前年同月比は3.8%の上昇  
 (2)  生鮮食品を除く総合指数は103.8
    前年同月比は3.7%の上昇   
 (3)  生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は102.0
    前年同月比は2.8%の上昇  

 

www.stat.go.jp

 

2020年度基準の中身(構成)

 消費者物価指数は、項目ごとにウェイトが設定されている。各項目の価格変化にウェイトを掛け算し、合計したものが物価指数となる(ラスパイレス方式)。下記が大まかな配分の具体例である。

消費者物価指数のしくみと見方 ―2020年基準消費者物価指数―:10大費目別の前年同月比と寄与度

 指数の求め方や、細かい調査品目についても総務省統計局が公表している。*7,*8 

 

 

トピック:2022年12月の値上がり内容

2022年12月の値上がり内容

 ここまでの内容を元に記事を読んでみよう。

 都区部の総合指数は前年比4.0%上昇、コアCPIは前年比4.0%上昇(民間予測は3.8%)、コアコアCPIは前年比2.7%の上昇である。

www.stat.go.jp

 

 ロイターの記事によると、都市ガス代が36.9%の上昇。食料品も食用油の32.5%をはじめ値上げが鮮明である。

jp.reuters.com

 

 

まとめ

 以上、消費者物価指数(CPI)について簡単にまとめた。

  • 消費者物価指数(CPI)は、「全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するもの」。
  • 消費者物価指数には、総合指数、コアCPI、コアコアCPIと呼ばれる3種類のものがある。用途や比較対象に応じて使い分ける。
  • 消費者物価指数は、項目ごとにウェイトが設定されている。各項目の価格変化にウェイトを掛け算し、合計したものが物価指数となる。
  • 測定対象の調査品目は細かく指定されている。
  • 2022年12月の速報値では、都区部のCPI総合指数は前年比4.0%上昇、コアCPIは前年比4.0%上昇(民間予測は3.8%)、コアコアCPIは前年比2.7%の上昇。

 

 今後消費者物価指数(CPI)のニュースを見かけたときには、ぜひ参考にしてほしい。

*1:日本経済新聞,2023-01-10,「東京都区部の物価4.0%上昇 22年12月、40年8カ月ぶり」,https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA06CAT0W3A100C2000000/,(参照2023-01-10)

*2:総務省統計局「消費者物価指数(CPI)」,https://www.stat.go.jp/data/cpi/,(参照2023-01-10)

*3:総務省統計局「消費者物価指数(CPI)」,https://www.stat.go.jp/data/cpi/,(参照2023-01-10)

*4:野村証券,「コアCPI|証券用語解説集)」,https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ko/A01976.html,(参照2022-01-10)

*5:野村証券,「コアコアCPI|証券用語解説集)」,

https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ko/A02277.html,(参照2022-01-10)

*6:総務省統計局,2022-12-23,「2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)11月分(2022年12月23日公表)」,https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html,(参照2022-01-10)

*7:総務省統計局,「消費者物価指数のしくみと見方―2020 年基準消費者物価指数―(2021年8月公表)」,https://www.stat.go.jp/data/cpi/2020/mikata/pdf/0.pdf,(参照2022-01-10)

*8:総務省統計局「小売物価統計調査(構造編) 集計方法」,https://www.stat.go.jp/data/kouri/kouzou/shuukei.html,(参照2023-01-10)