確定申告:NPO(ユニセフなど)への寄付、寄附金控除/ふるさと納税/住宅ローン控除など、シミュレーション
今回の内容
確定申告の時期には、所得税還付のための手続きを行う。昨今、寄付金を募る世情であり寄付金控除の仕方は見かける。しかし、ふるさと納税、公益社団等への寄付金控除、住宅ローン控除などを組み合わせたときにどのように還付されるかをご存じだろうか。本記事は、以下の読者の役に立つはずである。
本記事は、慈善団体等への寄付をしたときに、どの程度の還付が得られるのかの想定を一般論として考える。
繰り返しになるが、ご自身の個別の所得税課税額や還付額については、税理士や税務署に直接相談してほしい。なお、内容は2022年5月時点のものである。
前回の記事はこちら。所得税と住民税の違い、所得控除と税額控除の違いについて解説した。
前回も記述しているが、結論は下記となる。
- 所得控除(寄付金控除)と税額控除(寄付金特別控除)の有利不利は所得に応じて決まる。
- たいていの場合は税額控除が有利(課税所得900万円/1800万円の壁)。
- 税額控除は所得税課税額の25%まで。
- 所得控除の対象は、年間所得の40%までの寄付金。
- 住宅ローン控除などの税額控除が大きいと、寄付金特別控除での税額控除はあまり活かせない。
- 上記を超えて各種団体に寄付する場合は、自己の負担となる。
本記事では、寄付金控除/寄付金特別控除、ふるさと納税、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)について紹介し、これらを組み合わせた場合の課税額と還付金についてシミュレーションを行う。
目次
トピック:寄附金、ふるさと納税、住宅ローンと控除
寄附金控除
指定されたNPOや政治団体等に寄付をしたとき、控除を利用できる。寄付金控除、寄付金特別控除から有利な方を選択しよう。
所得税控除部分:寄附金控除(所得控除)
寄付をしたときに利用できる所得控除が寄付金控除である。
算出式は、下記の2パターンのいずれか低い方となる。
- 特定寄付金の合計額 - 2000円
- 年間所得金額 × 40% - 2000円
寄付金控除以外のすべての所得控除実施後の年間所得額が100万円のA,Bの2名を例としよう。Aは50万円の寄付を、Bは2万円の寄付をしたとする。
Aは認定特定非営利法人に50万円を寄付したとする。下記の計算から、Aの寄付金控除額(所得控除)は39万8000円となる。10万2000円分については所得控除を受けられない。
- 50万円 - 2000円 = 49万8000円
- (100万円 × 40%) - 2000円 = 39万8000円
よって、所得額は 100万円 - 39万8000円 = 60万2000円となる。
寄付金控除により、39万8000円 * 5% = 1万9900円の税金が還付される(実質寄付額48万100円)。
Bは認定特定非営利法人に2万円を寄付したとする。下記の計算から、この寄付金控除額(所得控除)は1万8000円となる。2000円分については所得控除を受けられない。
- 2万円 - 2000円 = 1万8000円
- (100万円 × 40%) - 2000円 = 39万8000円
よって、所得額は 100万円 - 1万8000円 = 98万2000円となる。
寄付金控除により、1万8000円 * 5% = 900円の税金が還付される(実質寄付額1万9100円)。
所得税控除部分:寄附金特別控除(税額控除)
寄付をしたときに利用できる税額控除が、寄付金特別控除である。
下記の3パターンに分類される。
- 政党等寄附金特別控除
(政党等に対する寄付金の合計額 - 2000円) × 30% - 認定NPO法人等寄附金特別控除
(認定NPO法人等に対する寄付金の合計額 - 2000円) × 40% - 公益社団法人等寄附金特別控除
(公益社団法人等に対する寄付金の合計額 - 2000円) × 40%
下記のような細かいルールがある。
寄付金特別控除以外のすべての所得控除実施後の年間所得額が100万円のA,Bの2名を例としよう。Aは50万円の寄付を、Bは2万円の寄付をしたとする。
Aは認定特定非営利法人に50万円を寄付したとする。下記の計算から、この人の寄付金特別控除額(税額控除)は1万2500円となる。Aについては所得控除(1万9900円)が有利である。
- (50万円 - 2000円) × 40% = 19万9200円
- (100万円 × 5%) × 25% = 1万2500円
Bは認定特定非営利法人に2万円を寄付したとする。下記の計算から、この人の寄付金特別控除額(税額控除)は7200円となる。Bについては税額控除(7200円)が有利である。
- (2万円 - 2000円) × 40% = 7200円
- (100万円 × 5%) × 25% = 1万2500円
寄付金控除に比べて、寄付金特別控除の対象となる特定寄付金の種類は少ない。寄付を実施する前に一度確認されることを推奨する。
住民税控除部分:寄附金特別控除
一部の特定寄付金について、住民税からも税額控除が可能である。しかし、こちらは国税よりも複雑である。課税地の自治体の指定の有無により、控除額が異なるのである。また、住民税の控除についての計算対象となる寄付金額は、所得の30%までである。
- 都道府県のみが対象に指定している場合
通常: (寄付金の合計額 ) × 4%
指定都市: (寄付金の合計額 ) × 2% - 市区町村のみが対象に指定している場合
通常: (寄付金の合計額 ) × 6%
指定都市: (寄付金の合計額 ) × 8% - 都道府県と市区町村の両者が対象に指定している場合
(寄付金の合計額 ) × 10%
仮定の例について考える。
住民税の課税所得額が50万円のAとBがいるとする。先ほどの寄付先団体は、都道府県のみが特定寄付金の対象として指定しているとする。
Aは認定特定非営利法人に50万円を寄付したとする。
下記の計算から、この人の住民税控除額(税額控除)は6000円となる。
- 所得の30% = (50万円) × 30% = 15万円
- 寄付金額 = 50万円
上記少ない方の15万円を基準とする。
15万円 × 4% = 6000円
Bは認定特定非営利法人に2万円を寄付したとする。下記の計算から、この人の住民税控除額(税額控除)は800円となる。
- 所得の30% = (50万円) × 30% = 15万円
- 寄付金額 = 2万円
上記少ない方の2万円を基準とする。
2万円 × 4% = 800円
ふるさと納税
ふるさと納税を利用する場合、自己負担金と所得控除分を除いて、一定の範囲内で住民税が減額される。実質課税額が自己負担金の2000円となる。
所得税控除部分:ふるさと納税
ふるさと納税利用時に所得税が控除されるのは、確定申告を利用するときである。
地方公共団体への寄付金は特定寄付金に該当する。先の図でも記載されているが、こちらについては寄付金控除(所得控除)が認められる。
算出式は、前述のとおり下記の2パターンのいずれか低い方となる。
- 特定寄付金の合計額 - 2000円
- 年間所得金額 × 40% - 2000円
所得税控除額 = (ふるさと納税額-2,000円) × 所得税率となる。
住民税控除部分:ふるさと納税
ふるさと納税の特徴として代表的なのが、住民税からの控除である。
住民税からの控除(特例分)が存在するため、こちらが住民税所得割額の20%以内に収まる限りは、自己負担額は2000円となる。
下記1+(2または3の少ない方)の合計が、住民税からの控除額である。
- 住民税からの基本控除額
(ふるさと納税の合計額 - 2000円 ) × 10% - 住民税からの特例控除額(住民税所得割額の2割を超えない場合)
(ふるさと納税の合計額 - 2000円)×(100% - 10%(基本分) - 所得税の税率) - 住民税からの特例控除額(住民税所得割額の2割を超えた場合)
(住民税所得割額)× 20%
仮定の例について考える。
所得税の課税所得額が100万円、住民税の課税所得額が105万円のAとBがいるとする。ある自治体にふるさと納税を行ったとする。(調整控除は考慮しない。)
Aは50万円をふるさと納税したとする。この場合の自己負担額は42万7800円(50万円 - 1万9900円 - 5万2300円)と非常に高額。
Aの所得税還付額(所得控除・国税)は既出のとおり1万9900円。
Aの住民税控除額(税額控除)は5万2300円(3万1300円+2万1000円)となる。
1-1. 所得の30% = (105万円) × 30% = 31万5000円
1-2. 寄付金額 = 50万円
上記少ない方の31万5000円を基準とする。
(31万5000円 - 2000円) × 10% = 3万1300円
2. (50万円 - 2000円)×(100% - 10%(基本分) - 5%)= 42万3300円
3. (105万円 × 10%) × 20% = 2万1000円
Bは2万円をふるさと納税したとする。この場合の自己負担額は2000円である。(2万円 - 900円 - 1万7100円)
Bの住民税控除額(税額控除)は1万7100円(1800円+1万5300円)となる。
1-1. 所得の30% = (105万円) × 30% = 31万5000円
1-2. 寄付金額 = 2万円
上記少ない方の2万円を基準とする。
(2万円 - 2000円)× 10% = 1800円
2. (2万円 - 2000円)×(100% - 10%(基本分) - 5%)= 1万5300円
3. (105万円 × 10%) × 20% = 2万1000円
ワンストップ特例制度と確定申告:どちらが得か
下記のページに特例制度の利用と確定申告の比較がある。
まとめると以下のとおり。
・控除の範囲内ならば大差はない。
・住宅ローン控除の枠を使いきれない場合は、ワンストップ特例が有利な場合がある(所得控除(寄付金控除)を利用しない)。
・住民税特例枠を使い切ってしまう場合は、確定申告が有利(所得控除(寄付金控除)を利用する)。
ふるさと納税の注意点
先ほどのAの例で見たように、特例制度を利用できる限界額は住民税所得割額の2割までである。それを超えた場合は自己負担額が増加する。
また、住民税が別の控除により軽減されている場合は、所得税と住民税の控除を受けられない場合がある(住宅ローン、外国税額控除など)。
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
所得税控除部分:住宅ローン控除(税額控除)
購入後一定の期間、特定の金額まで住宅ローン控除として税額控除を受けることができる。
0.7%未満の金利で借り入れている場合、借入額が控除対象額未満の場合は返済期間を長めにとることに優位性がある。優遇対象は家の種類や入居年(2023年以前、24-25年、26年以降)で異なる。
ご自身の最適なローンの組み方については確認、計算してみてほしい。
過去の住宅ローン減税の減税額一覧
住宅ローン控除での税額控除額は、購入年や入居年で異なる。概要を記載する。
下記の辻・本郷税理士事務所の資料に令和4年度以降の控除額について詳しくまとまっている。建物の仕様と入居年によって控除上限額や期間が変化する。
(出典:辻・本郷税理士事務所「速報・令和4年度税制改正大綱」)*1
住民税控除部分:住宅ローン控除
住宅ローン控除では所得税で控除しきれなかった部分を、住民税から控除することができる。2014年4月-2021年12月入居分については課税総所得金額等の7%(最高13.65万円)を控除できる。2013年-2014年3月入居分と2022年以降入居分については課税総所得金額等の5%(最高9.75万円)のみを控除できる。
(出典:辻・本郷税理士事務所「速報・令和4年度税制改正大綱」)*2
新制度の住宅ローン控除については、下記の三菱UFJ銀行のページにも詳しくまとまっている。
トピック:所得控除と税額控除(復習)
所得税の課税額は、下記の式で決まる。
- 課税額 = {(収入ー所得控除)× 税率 - 控除額} - 税額控除
下記では、改めて所得控除と税額控除について説明する。
所得控除と税額控除
所得税の課税額は、収入そのものに対してではなく、各種控除後の課税ベースに対して税率を掛けて計算する。課税ベースを減らしてくれるのが、所得控除である。
以下、年収500万円のサラリーマンの例である。
年収500万円の給与所得者の場合、年間の社会保険料の推定額は71万円とされる。
ここで、給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除、課税ベース、税額を計算する。
ここでは、上記3点の合計額、263万円が所得控除額となる。
課税額は、 (500万円-263万円) × 10% - 97,500円 = 13万9,500円 となる。
税額控除があれば、ここからさらに課税額が減る。
詳細は前回の記事を参照のこと。
トピック:各種控除の組み合わせ、シミュレーション
ここまでの制度の説明を踏まえて、還付についてのシミュレーションを行う。
シミュレーションについては、下記の条件を示して2例実施する。
・年収=500万円
・所得
・寄付金額
・ふるさと納税額
・年末住宅ローン借入額
寄附金特別控除+ふるさと納税+住宅ローン控除(所得税範囲内)
所得税の計算
所得税を計算する。計算の結果は、1万9700円が課税額。
- 給与所得控除:500万円×20%+44=144万円
- 社会保険料控除:71万円
- 基礎控除:48万円
- 寄付金額:1万円(例:ユニセフ)
- ふるさと納税額:6万円
- 年末住宅ローン借入額(2013年借入れ):1100万円
- 配偶者なし、扶養家族なし
- 生命保険、地震保険、個人年金等の加入なし
ここではふるさと納税以外の寄付金については寄付金特別控除を利用する。
所得控除:
・寄付金控除額(ふるさと納税分)=(6万円-2000円) = 5万8000円
ここで課税所得を計算する。
課税所得 = 500万円 - (144万円 + 71万円 + 48万円 +5万8000円) = 231.2万円
所得税額(税額控除前) = 231.2万円 × 10% -9万7500円 = 13万3700円
ここから税額控除を適用する。
住宅ローン控除 = 1100万円 × 1% = 11万円
所得税額(住宅ローン控除適用後) = 13万3700円 -11万円 = 2万3700円
寄付金特別控除について計算する。
1万円 × 40% = 4000円(自己負担分2000円はふるさと納税で計算済み)
2万3700円 × 25% = 5925円 -> 5900円(100円未満切り捨て)
よって、寄付金特別控除の利用(4000円)が可能。
所得税額(寄付金特別控除適用後) = 2万3700円 - 4000円 = 1万9700円
住民税の計算
続いて、住民税を計算する。計算の結果は、19万1900円が課税額。
- 給与所得控除:500万円×20%+44=144万円
- 社会保険料控除:71万円
- 基礎控除(住民税):43万円
- 寄付金額:1万円(例:ユニセフ)
- ふるさと納税額:6万円
- 住宅ローン控除残額:0円
- 配偶者なし、扶養家族なし
- 生命保険、地震保険、個人年金等の加入なし
所得割額を計算する。
課税所得 = 500万円 - (144万円 + 71万円 + 43万円 ) = 242万円
所得割 = 242万円 × 10% = 24万2000円
ここで調整控除が2500円あるとする。
住民税額(所得割額:税額控除前) = 24万2000円 -2500円 = 23万9500円
ふるさと納税について、税額控除を計算する。
住民税控除額(ふるさと納税の税額控除)は5万2200円(5800円+4万6400円)。
1-1. 所得の30% = (242万円) × 30% = 72万6000円
1-2. 寄付金額 = 6万円
上記少ない方6万円を基準とする。
(6万円 - 2000円)× 10% = 5800円
2. (6万円 - 2000円)×(100% - 10%(基本分) - 10%)= 4万6400円
3. (242万円 × 10%) × 20% = 4万8400円
認定特定非営利法人に1万円を寄付している。ユニセフが都道府県のみ特定NPO認定、市区町村では認定なしとする。下記の計算から、ふるさと納税以外の住民税控除額(税額控除)は400円となる。
- 所得の30% = 72万6000円
- 寄付金額 = 1万円
上記少ない方の1万円を基準とする。
1万円 × 4% = 400円
以上より、
住民税額(所得割額:税額控除後) = 23万9500円 - 5万2200円 - 400円 =18万6900円
また、住民税(均等割額:復興特別税1000円含む)=5000円
よって、住民税総額は19万1900円。
寄附金控除+ふるさと納税+住宅ローン控除(所得税範囲超過)
所得税の計算
所得税を計算する。計算の結果は、0円が課税額。
- 給与所得控除:500万円×20%+44=144万円
- 社会保険料控除:71万円
- 基礎控除:48万円
- 寄付金額:1万円(例:ユニセフ)
- ふるさと納税額:6万円
- 年末住宅ローン借入額(2019年借入れ):2400万円
- 配偶者なし、扶養家族なし
- 生命保険、地震保険、個人年金等の加入なし
ここではふるさと納税以外の寄付金については寄付金控除を利用する。
所得控除:
・寄付金控除額(ふるさと納税分+ユニセフ)=(6万円 + 1万円 -2000円) = 6万8000円
ここで課税所得を計算する。
課税所得 = 500万円 - (144万円 + 71万円 + 48万円 +6万8000円) = 230.2万円
所得税額(税額控除前) = 230.2万円 × 10% -9万7500円 = 13万2700円
ここから税額控除を適用する。
住宅ローン控除 = 2400万円 × 1% = 24万円
所得税額(住宅ローン控除適用後) = 13万3700円 -24万円 = -10万6300円
-> 所得税額(住宅ローン控除適用後) = 0円,
住民税からの控除可能額=10万6300円 < 13万6500円
寄付金特別控除について計算する。
1万円 × 40% = 4000円(自己負担分2000円はふるさと納税で計算済み)
0円 × 25% = 0円
よって、寄付金特別控除の利用不可。(3200円の税負担増)
所得税額 = 0円 - 0円 = 0円
住民税の計算
続いて、住民税を計算する。計算の結果は、8万5600円が課税額。
- 給与所得控除:500万円×20%+44=144万円
- 社会保険料控除:71万円
- 基礎控除(住民税):43万円
- 寄付金額:1万円(例:ユニセフ)
- ふるさと納税額:6万円
- 住宅ローン控除残額:10万6300円
- 配偶者なし、扶養家族なし
- 生命保険、地震保険、個人年金等の加入なし
所得割額を計算する。
課税所得 = 500万円 - (144万円 + 71万円 + 43万円 ) = 242万円
所得割 = 242万円 × 10% = 24万2000円
ここで調整控除が2500円あるとする。
住民税額(所得割額:税額控除前) = 24万2000円 -2500円 = 23万9500円
ふるさと納税について、税額控除を計算する。
住民税控除額(ふるさと納税の税額控除)は5万2200円(5800円+4万6400円)。
1-1. 所得の30% = (242万円) × 30% = 72万6000円
1-2. 寄付金額 = 6万円
上記少ない方6万円を基準とする。
(6万円 - 2000円)× 10% = 5800円
2. (6万円 - 2000円)×(100% - 10%(基本分) - 10%)= 4万6400円
3. (242万円 × 10%) × 20% = 4万8400円
認定特定非営利法人に1万円を寄付している。ユニセフが都道府県のみ特定NPO認定、市区町村では認定なしとする。下記の計算から、ふるさと納税以外の住民税控除額(税額控除)は400円となる。
- 所得の30% = 72万6000円
- 寄付金額 = 1万円
上記少ない方の1万円を基準とする。
1万円 × 4% = 400円
以上より、
住民税額(所得割額:税額控除後) = 23万9500円 - 10万6300円 - 5万2200円 - 400円 = 8万600円
また、住民税(均等割額:復興特別税1000円含む)=5000円
よって、住民税総額は8万5600円。
まとめ
本記事では、寄付金控除と寄付金特別控除の違い、ふるさと納税制度、住宅ローン控除の概要、税額の計算方法についてまとめた。
- 寄付金控除は所得控除、寄付金特別控除は税額控除
- 寄付金特別控除の方が一般的には寄付金控除より有利
- ふるさと納税の還付金額は他の寄付金に比較して大きく有利
- 住宅ローン控除額が大きいと、寄付金特別控除やふるさと納税を利用できない部分が発生する。
- 寄付金特別控除を利用できない場合は、寄付金控除で処理する。
- 年収500万円の独身サラリーマンが控除を使わない場合、手取りは390万円(社会保険料71万円、所得税13万9500円、住民税24万4500円)。
- 年収500万円の独身サラリーマンがふるさと納税6万円、ユニセフへの寄付1万円、2400万円の控除対象住宅ローンがある場合、手取りは413万円(社会保険料71万円、所得税0円、住民税8万6100円。寄付金7万円。)。ふるさと納税分の返礼品あり(1万8000円相当)。
こどもの日にはあまり相応しくないテーマの記事である。
控除を増やせば増やすほど、計算はややこしくなっていく。ふるさと納税以外の寄付金控除を使っている読者は少ないかもしれないが、本記事でどのような課税がされるのかをお分かりいただけたのではないだろうか。昨今の感染症や政情不安により、寄付が求められている。2022年分の確定申告では、ふるさと納税以外の寄付金控除や寄付金特別控除を申請されてはどうだろう。
実際の税金についての相談は、読者の皆様から税理士や税務署にお問い合わせ願いたい。
*1:辻・本郷税理士事務所,「速報・令和4年度税制改正大綱」P32,https://www.ht-tax.or.jp/pdf/article/zeiseikaisei2022.pdf,(参照2022-05-05)
*2:辻・本郷税理士事務所,「速報・令和4年度税制改正大綱」P33,https://www.ht-tax.or.jp/pdf/article/zeiseikaisei2022.pdf,(参照2022-05-05)