mittlee読書と経済雑記ブログ

読書がメインのブログです。経済、社会、語学について気になったことを記載します。

「財布は踊る」(原田ひ香):お金との付き合い方、失敗と対策(リボ払い/FX/信用取引/奨学金etc)【感想】

今回の内容

 お金。資本主義社会においては生活と切っても切り離せない。あればできることも増えるが、なければその確保に苦労することになる。

 クレジットカードのリボ払い、消費者金融からの借金、FXの取引とネットワークビジネス奨学金の返済もあれば、せどり、積立投資、さらには不動産投資。世界はお金の話で溢れている

 

 この記事では、原田ひ香の小説『財布は踊る』を紹介する。

 ルイ・ヴィトンの長財布を購入したものの、あるトラブルからこの財布を手放さないといけないことになる。この財布はどのような因果か、お金にまつわる悩みを持つ複数の持ち主の間を巡っていくことになる。

 

 

 この記事では下記の2点を紹介する。小説のネタバレを含むため、未読の方は目次を見る前にブラウザバックを推奨する

  1. 『財布は踊る』の登場人物たちと失敗
  2. 現実社会での失敗への対策=情報収集、負債とリスクの回避orコントロール

 当ブログ筆者は、リボ払いもFXも信用取引も推奨しない。お金に関する情報収集と決断は読者諸兄でお願いしたい。

 

www.shinchosha.co.jp

 

 

 

 こちらから試し読みもできる。

www.shinchosha.co.jp

 

 

 あの棋士・優待投資家の桐谷さんも推薦している。

 

www.shinchosha.co.jp

 

  

 原田ひ香は日本の作家である。1970年に神奈川県で生まれた。2005年に「リトルプリンセス2号」でNHK創作ラジオドラマ大賞受賞。2018年発売の『三千円の使いかた』は2022年8月時点で発行部数60万部を超える。*1

 

 『財布は踊る』は2022年に新潮社から出版された著作である。

 

 

 

目次

 

『財布は踊る』の登場人物とお金に関する失敗

 本書でテーマにしているのはお金との付き合い方である。登場する人物たちは、それぞれお金に関する失敗を抱える。その困難への立ち向かい方が本書の各人物の分かれ道である。

 登場人物たちの多数を占める失敗は、借入金である。特に支払い許容量を超過しそうな負債である。基本的な対策は事前と事後の情報収集、負債とリスクの回避orコントロールだ。特に借入金の支払額、利率、期限は重要である。

 

クレジットカードのリボ払いの負債:葉月みづほ

 葉月みづほは節約家の主婦である。特売品の鶏肉やもやしを1円単位で計算し、それを活かしたメニューを考える。食料品費や日用品(こどものおむつまで含む)費込みとして渡された5万円から、毎月貯蓄を2万円やりくりするくらいである。この節約が効して、ハワイに家族3人で旅行に行くことができるほどに。ハワイで彼女は10万円の長財布を名入れで購入する。

 他方で彼女の夫、雄太は浪費家である。夫の年収450万円から小遣いは毎月5万円である。彼のクレジットカードの支払いは毎月3万円。ハワイ旅行で10万円以上使っているのに支払いは3万円。計算が合わないので支払いの詳細を聞くと怒り出す。

 なぜか。答えはリボ払いの利用3万円の内、2万8000円以上は利子の支払い。利率15%の借金の元金は228万円まで膨らんでいた。

 親族からの借り入れ、手元現金の繰り入れ、手元品の売却により、みづほは雄太のリボ払いの元金を40万円程度まで減らすことに成功して残りを分割返済とする。

対策:家族間の情報公開(収入/支出、資産/負債/自己資本)の把握、元金の返済、一括払い

 苦境における最初の対策は、現状把握である。みづほは嫌がる夫を再三の説得の上何とかクレジットカード会社の窓口に連れていくことでどうにか現状を把握することができた。

 その後の対策もおよそ適切なものだったといえる。年利15%という悪条件の借金を、親族等の借り入れという無利子のものに置き換えた。幸いにして預貯金を持ち、貸してくれる親族がいたのは幸いした。これが難しい場合、支払い年限次第だが、金利5%以内の銀行系無担保ローンへの借り換えが考えられる。(信用情報がブラックな場合は難しいかもしれない。)

 そもそもの対策としては、リボ払い設定をしない、解除する必要がある。クレジットカードの支払いは一括-二回払いの無利子とする、生活費に対しては金利がかかるような借金はしないというのが基本である。

 

消費者金融からの借り入れ、FX取引、ネットワークビジネス:水野文夫

 水野文夫はフリーターである。学費の支払いを賄えず、消費者金融からの借金をする。それを学業の傍らでは返すことができずにアルバイトを増やし、大学中退に至っている。

 文夫は一儲けしようとしてFXの商材を42万円で購入してしまう。この商材の仕組みもあくどい。商材を売った人間Aに8万円、Aに商材を売った人Bには4万円、Bに商材を売ったCには2万円、さらにCに商材を売ったDには1万円が入る。要するに、マルチ商法である。

消費者庁マルチ商法にご用心!!」より

 マルチ商法とは、商品やサービスを契約して、次は自分が買い手を探し、次々に販売組織に加入させ、ピラミッド式に拡大させていく商法です。実際は、販売組織の会員となっても販売成果を上げられず、借金が残って被害者となるだけでなく、自らが勧誘・販売することで加害者となり被害を拡大させたりと、非常に問題の起こりやすい取引形態です。*2

 このマルチ商法に関わっている知人たちは、別のコーチング教材なども売りつけてくる。この男、完全にネギを背負った鴨だと思われている。

 文夫はFX取引自体は損を出して止めている。10万円を元手に20倍のレバレッジをかけ、短時間で4万円を溶かしてから彼はFX取引をしていない。

 結果、文夫の借金は奨学金が150万円、消費者金融が130万円(一部は年利13%)、FXの情報商材のローンが40万円、もしかすると更に30万円の教材ローン。計320万円(+30万円)のローンとなった。

 文夫は借金の返済のために、将来の高収入が見込める技術職への就職と地道な返済を覚悟する。

対策:有利な借入条件の優先、詐欺への警戒、短期トレードの回避

 文夫の学生時代の資金計画の失敗から始まる。1週間のインフルエンザからバイトができずに家賃支払いがショートする。ここでより低金利の借り入れをしておく、もしくは当初より学費と家賃を見越して多めに奨学金を借りるという手が考えられた。日本学生支援機構の二種奨学金金利は延滞しないかぎりは最高でも年利3%とされる。昨今の低金利下でここ10年は1%未満が継続していた。

 次の失敗はネットワークビジネスマルチ商法に騙され、また参加したことである。基本的な対処である情報収集により、同商材がどのようなものかを調べれば引っかからずに済んだかもしれない。そして、ほどほどのリスク(期待値5%,リスク20%)で投資を始めたい場合、高額の情報商材は不要とされる。

 短期トレードも推奨しない。手数料分のマイナスサムゲームとなり、基本的には参加すればするほど期待値はマイナスとなる。そして20倍はレバレッジをかけすぎている。レバレッジは3倍以下、金額は総資金の25%以内とすべきである。文夫は少額かつ早々に撤退しているため取引本体は4万円の損で済んでいる。

 FXの信用取引が負に働いた時の悪影響は絶大である。2015年1月15日のいわゆるスイスフランショックの際には、預けていた証拠金(自己資金)をすべて失ったうえ、さらに1137人の個人で計19億4800万円の借金を負ったとされる。*3

 

信用取引仕手株、投資インフルエンサー:野田裕一郎

 野田裕一郎はFIRE(Financial Independence, Retire Early)を目指す若手会社員である。「人生は五千万を作るゲーム。」として、節約に励み、全世界株式、アメリカのS&P500、日本のTOPIXの3つのインデックスファンドを毎月積み立てていた。節約、投資アカウントをTwitterに作る。周囲のユーザーのプロフィール欄のバイブルには『金持ち父さん 貧乏父さん』が並ぶ。

 野田の節約投資生活が1年を過ぎたころ、日本マクドナルドの個別優待株投資を始める。これで短期間に10%の利益を上げる。野田はアラシ池田という投資インフルエンサーのアカウントを見つける。彼が買い推奨した銘柄は大きく上がり、売り推奨した銘柄は落ちていく。アラシ池田の推奨に従い利益を上げる中で野田は信用取引を始めた。Rという会社の株を買い、一時は4500万円に資産が達するが、アラシの売り推奨tweetの翌日には追証が発生。親族や消費者金融から借金をして証券会社に振り込むが、最終的には300万円の借金を残した強制決済となる。

 アラシ池田は相場操縦の常習者であり、tweetの前にすでに仕込みを終えているのである。R株も仕手株だったと後から野田は気づく。野田は会社内でも給与の先取りなどを工面しようとし、退職することになる。

対策:現物のみ、損切り徹底、相場操縦への警戒、航路を守れ

 本失敗を防ぐためには、現物取引に留めるべきだった。信用取引(先物、オプションを含む)は大きなリスクを伴う。現物取引では持っている金額までしか損をしないが、信用取引では大きな負債を抱えることがありうる。

 繰り返しになるが、レバレッジは3倍以下(株式信用取引はこの制約がある)、金額は総資金の25%以内とすべきである。加えて、個別銘柄の場合は個人の資産の10%を超えて保持してはリスクが高すぎると言われている。

 また、信用取引の場合は特に損切りが必要になる。借金とならないためにはルールを決め、一定額に損が達した場合は精神的な痛みはあるが売却しなければならない。

 今回、取引の決定を投資インフルエンサーからの情報に従って行っていた。健全な金融市場という観点からはよくない状況だが、個人・法人問わず不正というのはありうる。一か所からの情報を鵜呑みにしてはならない。

 インフルエンサーが相場を動かすつもりがなくても、相場は動く。あるYouTuberが金が上がると紹介したら、米国市場で金が1%しか上昇していないのに、日本の金ETFだけ3%上昇するという不健全な動きの例がある。相場は過剰に反応することがあるのを肝に銘じる必要がある。

 最後に、「航路を守れ」。投資の基本は「長期・分散・積立」である。時間、地域、業界、銘柄を分散することでリスクを抑えることができる。*4

www.jsda.or.jp

 

 ごく少数の優秀な専業トレーダーを除いて、信用取引では勝てない。株式投資で欲が出た場合、「ほとんどのトレーダーは市場平均に勝てない」「長期・分散・低コストこそが最も重要」という先人の言葉を思い出してほしい。

www.kinokuniya.co.jp

 

Twitter炎上、セミナー商法:蛇川茉美

 蛇川はお金において別の登場人物のような大きな失敗はしていない。彼女が抱えるのは、今後のお金とキャリアについての悩みである。

 彼女は「善財夏実」というペンネームでライター稼業をしている。過去に「マジックテープ財布を使っている男は結婚できないし、年収300万円以上にもなれない」とtwitterで発言して大炎上。そこにDMを送ってきた小規模出版社の編集者と同タイトルのお本を出すことになる。お財布アドバイザーとしてライターのキャリアを積んでいく。

 2時間で50万円の報酬であるセミナーや、せどりを仄めかすネット起業を利用した経済圏に関する記事などについて編集者からたしなめられる。私生活についても交際している相手との今後の関係や結婚出産後も順調な友人とを比較する。リーマンショック数年後の就職失敗や転職などの過去と現在を逡巡し、自身のキャリアと人生の今後に思い悩む。

対策:発言の見直し、仕事の取捨選択、職業倫理

 蛇川は多額の負債を抱えるような大きな失敗はしていない。Twitterの炎上はマイナスとなる人も多い中、それを活かしてむしろライターとしての知名度を向上させた。金銭的にはむしろ余裕がある。

 就職活動と転職の失敗は日本においては今後に大きく影響する。さらには周囲の経済環境にもさらされる。そこでの失敗が、職業人としても一人の個人としても納得できない現状を生んでいるのではないかと悩む。

 蛇川の苦悩は明らかな失敗というものではなく、明確な対応は難しい。一般的な解決策は公的な発信の見直しである。ライター業としてキャリアの方向性を意識した仕事を選択する、納得できないものや社会的に負の影響があるものは出さないなどが考えられる。しかし、これは取引先や運によるところも大きい。

 

奨学金返済、滞納:平原麻衣子、斉田彩

 平原麻衣子は新宿の観光案内所で契約社員として働いている。友人の斉田彩は新宿のカラオケボックスで正社員として働いている。

 月給は手取りで15万円。ボーナスはなし。二人の収入は同じ程度だ。しかし、ここから毎月3万円の奨学金を支払っているため、家計はカツカツ。貯金をする余裕がない。

 奨学金は第二種の満額12万円を借りている。結果として借入額は600万円近く。8年程度返済し、残額は300万円ほどである。滞納は1回ずつ経験がある。彼女たちは奨学金返済の裏技を教えるというサイトを見つける。

対策:猶予・減額制度の利用、あるいは学生となる、(給付/第一種併用)

 奨学金返済は猶予、減額を受けることができる。

 年間収入額300万円未満の場合:期間中の最長10年は返済猶予 

 年間収入額325万円未満の場合:半額または1/3の金額のみの返済、減額期間は最長15年

www.jasso.go.jp

www.jasso.go.jp

www.jasso.go.jp

 

 猶予や減額の措置を利用するには、奨学金の滞納があってはならないとされている。

今回の麻衣子と彩の事例の場合、手続きを利用できるかは日本学生支援機構への相談となる。

 また、そもそも12万円を借りるのに、無利子の第一種の奨学金だと6万4000円しか借りられないから全額有利子というのは不利な選択である。2006年時点は定かではないが2023年の現状では第一種と第二種を併用できる。6万4000円分は無利子、不足分の5-6万円程度のみを有利子として借りるべきである。

www.jasso.go.jp

 

 その他の手法としてはは、学費が小さい大学において籍を置いておき、返還猶予するというものがある。

 

コロナによる影響、コロナショック(投資)、不動産投資、給付金:?

 コロナショックにより、一時的に世界の株価が暴落した(コロナショック)。こちらは半年程度で株価を取り戻した。この乱高下では損得は分かれただろう。

 コロナ感染の拡大では、飲食業界や旅行業界に多大な影響が出た。他方で新型コロナ感染症特別融資*5を0%に近い低利で利用したレジデンシャル系の不動産投資家が富を蓄積した事例がある。

 

対策:多角化、無借金経営、公的支援の活用、そしてそれよりも大切なこと

 この予想外の事態に備えるには、元々の事業基盤や生活基盤を分散しておくことが考えられた。また、レバレッジを使わずに無借金経営の場合は生き残りやすかっただろう。

 他方で、コロナに関連した公的支援策を利用した事業者で大きく利益を上げ、資産を拡大したという記事も見かける。このコロナの荒波を乗り切れたかどうか、結果的には運に左右された部分が大きいに違いない。ここで述べる対策は後知恵に過ぎない。

 大切なことは、人との繋がりを大切にすること。お金との付き合い方を考えるだけでなく、なぜお金を必要とするか、人や社会まで含めたつながりの中で自身がどうするかを考えることだと感じた。

 

まとめ

 『財布は踊る』の中では現実社会と共通する多数のお金の失敗が見られた。登場人物たちの多数を占める失敗は、借入金である。特に支払い許容量を超過しそうな負債である。

 繰り返しになるが、基本的な対策は事前と事後の情報収集、負債とリスクの回避orコントロールだ。特に借入金の支払額、利率、期限は重要である。 

  • 情報を収集する
  • 生活に関する借金はしない
  • 金利が高い借り入れは避ける
  • 月々の返済額と返済期間に気を付ける
  • 詐欺に警戒する
  • 困ったら頼れる制度や人がいないかを調べる
  • 人とのつながりを大事にする

 お金は道具に過ぎない。財布だけでなく、それに応じて人まで踊らないように生き方を考えたいと感じた。

 

*1:日経XTREND,2022-08-05,「『三千円の使いかた』60万部の原田ひ香氏 「お金と人生」描く新著, https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00432/00022/,(参照2023-01-14)

*2:消費者庁マルチ商法にご用心!!」, https://www.caa.go.jp/publication/pamphlet/pdf/120712pamph.pdf

,(参照2023-01-15)

*3:MYFOREX,2022-12-25,「スイスフランショックとは?その原因と影響」, https://myforex.com/ja/news/myf22100301.html,(参照2023-01-15)

*4:時間分散については手持ちの余裕資金を投資し終えた後は、リスクは一括投資と同じである

*5:https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/pdf/covid_19_faq_jisshitsumurishika.pdf,(参照2023-01-15)

2022年の抱負(英語, TOEFL iBT, Twitter, ブログ)

今回の内容

 ブログ筆者の2022年に実施したいことを記述する。来年の初めに見返すための覚え書きである。本記事は筆者以外ではもしかしたら下記の方に役立つかもしれない。

 

  1. 本ブログに興味を持った2023年以降の読者
  2. 英語学習者(TOEFL)
  3. ブログ執筆者

 

 本記事は、筆者の2022年の目標宣言の記事である。あえてブログ記事にしている理由は、筆者の学習継続のためのモチベーション維持のためである。

  • 本記事は、『独学大全』*1にて紹介されていた、コミットメントレターを参考にした。
  • 独学大全の第6章「環境を作る」、技法13ゲートキーパー」の技法、コミットメントレターに基づく実践である。

 

www.diamond.co.jp

 

 

 

 『独学大全』の中身についてご興味がある読者の方は、こちらの書評を参考にして頂きたい。

・なぜ学ぶのか

・何を学べばよいかを見つける

・どのように学べばよいかを知る

・独学の「土台」をつくる(国語、英語、数学)

dain.cocolog-nifty.com

 

 

 

 

目次

 

トピック:本年の目標、英語

TOEFLとは何か

 TOEFLは英語を母国語としない人の英語力をはかるテストである。iBT形式は「 internet Based Tests」の略で、受験生は公開会場で個別にインターネットに接続されたパソコンで試験に回答する。

TOEFL」は「Test of English as a Foreign Language」(直訳:外国語としての英語テスト)の略称で、英語を母国語としない人の英語力をはかるためのテストです。
TOEIC®テストと同様、アメリカの試験作成団体であるETS(Educational Testing Service)によって作成されており、世界150カ国11,000以上の大学やその他の機関が利用・受験生の人数はこれまでに約3,500万人以上となっています。*2

www.zkai.co.jp

 

www.ets.org

 

英語力の強化:TOEFL iBTでの102/120

 TOEFL iBTでの102点以上/120を目標とする。理由はC1基準の英語力を証明できる点である。

 過去記事で紹介しているが、C1相当が95点以上。海外の大学院進学に求められるスコアが100点以上。IELTSの7.5/9.0相当が102点以上とされている。

 英語力が理由での物事の断念を大抵の場合に防ぐことができるのが102/120の水準であると考えている。

 

 過去のCEFRの紹介記事。

mittlee.hatenablog.com

 

 IELTSとの比較をしている他サイトの記事。

www.path-to-success.net

 

英語力の強化:学習内容

 下記学習の継続、追加。

 継続:

 追加:

  • Kindleアプリでの英語書籍読書
  • Economist等雑誌特集記事を毎週末に1記事は読む。
  • TOEFL特化学習(Reading,Listening,Writing,Speakingの順)

 

トピック:本年の目標、Twitterとブログ

Twitter:ニュース要約、週4本以上

記事の紹介を続ける。

  • 政治、経済、生活、文化などに世情を把握するのに役立つ記事の要約紹介。
  • 週4本以上の記事の紹介を続ける。
  • CNBCやBloombergBBCThe Economistなど海外記事の紹介もできるのが理想。

その他、英語学習の進捗をコミットメントレターとして公開するかもしれない。

 

ブログ:毎月1記事以上、年間20本以上

 ブログ記事の投稿本数を増やしていく。

  • 毎月最低でも1本投稿。
  • 5月以降は月2本以上での投稿。
  • 読書関連記事を年8本投稿

 

まとめ

 以上、本年の目標を掲示した。将来的には英語力や情報収集、発信力の向上を続けて課題に対する分析や解決策の提示などを行えることが理想である。

  • 複数書籍や官公庁、シンクタンク資料の紐づけ
  • 書籍からの情報収集量の増加
  • 海外公的機関資料を含めた紐づけ
  • 統計やAIを駆使した検証
  • 課題提示と原因探し、解決策の提言

 千里の道も一歩から、まずは小さいことから始めたい。

 なお、元日中に記事投稿できなかった点については、明治の大作家*3に苦言を呈される隙を与えないために、新年になってから記事を書いたからとしてご容赦頂きたい。

苟(いやし)くも元日の紙上にあらわれる以上は、いくら元日らしい顔をしたって、元日の作でないに極(きま)っている。*4

 

明けましておめでとうございます

*1:読書猿, (2020).『独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のためのの技法』 ダイヤモンド社, P172

*2:Z会,「TOEFL iBT®テストを知ろう」,https://www.zkai.co.jp/ca/toefl/infotoefl/,(参照2021-01-02)

*3:夏目漱石, 『元日』, 青空文庫https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/2674_6494.html,(参照2021-01-02)

*4:春秋.日本経済新聞.2022-01-01,日本経済新聞電子版,https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK310MH0R31C21A2000000/,(参照2021-01-02).

中古本買取り:バリューブックス(VALUEBOOKS)の利用、その他比較

今回の内容

 

 本を読むのは面白い。しかしながら、一度読み終えた本の中には二度と読まないものがある。書籍は意外と場所を使う。捨てるにも、すでに絶版となっていそうな本があり、廃棄をするとなると気が引ける。そんな時には中古本買取りの出番である。

 

  1. 読んでいない書籍を手放すことができる。
  2. 貴重な書籍や絶版本を廃棄せずに済む。
  3. 手間をあまりかけずに本を手放すことができる。
  4. 少額だが、雑収入を得ることができる。

 

 本記事は、本の管理、特に処分での悩みをお持ちの方に向けての記事である。

  • 数年間どころか十年以上読んでいない本が部屋を占拠している。
  • 本を整理したいが、愛着があって捨てられない。
  • 絶版本など貴重な書籍もあって、踏ん切りがつかない。

 

 多数の書籍を手放す必要に陥った、一人の事例を本日は紹介する。

 

 

 

 

目次

 

 

トピック:本の買取方式について

本の買取の概要:フリマ、ネット販売、持ち込み買取、出張買取、宅配買取

 中古書籍の販売は、一般的には手間をかけるほど高額な買取結果を得られると言われている。

 引き合いのある絶版本ならば、時間をかけることで定価以上の価格での買取を期待できる。他方で、ブックオフやバリューブックスなどの一括中古買取の際には読者諸兄も経験があるかもしれないが、1冊あたり10円や1円という値段での買取り結果となることも多い。

 覚えておくべきは、手間をかけるほど(例えば1冊ごと)に買取価格は高くなり、手間をかけないほど買取価格は安くなるということだ。

 例えば下記では横軸と縦軸に手間と価格を並べて紹介している。

www.valuebooks.jp

 

中古買取の利用

 中古買取を利用するにあたり、結果的には宅配買取を選んだ。Web販売、持ち込み、出張買取などについて、下記のような検討をした。

f:id:mittlee_6791CRAdde:20211121232200p:plain

山積みの段ボール箱(いらすとや)*1



 

中古本買取の注意点

 住所、生年月日、氏名を開示する必要がある点にご留意いただきたい。

 中古書籍買取業者による本人確認が行われる。身分証明書の提示と本人確認が必要になる。中古買い取り業者は古物営業法により下記の義務を課されている。

1つ目は本人を確認する義務です。
古物商は古本などの古物を買い取る際、その持ち主の本人確認をしなければなりません。
そのため、古物の所有者は身分証明書を提示して本人確認に協力する必要があります。
ただし、買取価が1万円未満の場合は、本人確認が必須ではありません。
2つ目は不正品を申告する義務です。
古物商は古物を取り扱う際に、その物品に不正品の疑いがあると判断した場合は直ちに警察に報告をしなければなりません。
不正品とは、盗品の恐れがある物品のことです。
この報告義務を怠った古物商は、営業許可を取り消されてしまいます。
3つ目が取引記録義務です。
古物商は取引の際に毎回古物台帳に取引の内容を記録しなければなりません。
記録内容の中には年月日、物品の特徴、取引相手の住所などの個人情報が含まれます。

*2

 

持ち込み買取を利用しなかった理由

 膨大な冊数の本を運搬するのが面倒だった。車を出して、渋滞に巻き込まれながら神保町エリアまで足を延ばす気にはならなかった。古書店街や古書店近くにお住まいならば検討してもよいかもしれない。

持ち込み買取のメリット
  • 送料はかからない。
  • 業者によっては見積もりの査定もその場で出る。
  • 場合によってはその場で現金化可能。
  • 顔なじみの古書店さんならば多少は色を付けてくれることもあるかもしれない。
持ち込み買取のデメリット
  • 自ら梱包、持ち込みする手間と時間はかかる。

 

フリマアプリを使わなかった理由

 確実に売ることができるかという不安、出品の手間、出品/振込手数料や送料の負担、住所匿名化の事前手続きの手間などが理由である。

 本が500円で1冊だけ売れた場合、(500*0.9-200)-200=50円、ここから梱包費用を引くので赤字と思われる。

 短期間で500円で10冊売れた場合は(500*0.9-200)*10-200=2300円、ここから10回分の梱包費用を引くので、1000円程度の手残りと予想される。

フリマアプリのメリット
  • 一点ずつの販売となり、買取価格が大きくなる可能性がある。
  • Amazonに比べると手軽。
  • 匿名販売(らくらくメルカリ便/ゆうゆうメルカリ便の事前登録)の用意がある。

*3

www.mercari.com

フリマアプリのデメリット
  • 手数料率10%(メルカリの場合)
  • 送料200円/回
  • 振込手数料200円/回
  • 収益の180日以内の口座振込必須
  • 書籍を購入する顧客の母数

Amazonを利用しなかった理由

 基本的な悩みはフリマアプリと一緒である。顧客層は大きいため、売りやすいと思われるが、競合も多い。さらには真贋調査に対応するのが手間かつ実質不可能に思われた。

 本が500円で1冊だけ売れた場合、(500*0.83-194-200)=21円、ここから梱包費用を引くので赤字と思われる。

 短期間で500円で10冊売れた場合でも同様。販売単価を上げるか、配送料を下げないかぎりは手残りはない。

 固定費/(1-(変動費/売上高))に当てはめると、損益分岐点価格が出てくる。固定費がフリマアプリよりも重たい。

Amazon販売のメリット
  • 一点ずつの販売となり、買取価格が大きくなる可能性がある。
  • 顧客が多く、販売の回転が早いと思われる。
  • 振込手数料はおそらくない。
Amazon販売のデメリット
  • 手数料の負担が大きい。(固定194円+販売額の15%)
  • 送料250円/回
  • 真贋調査
  • 電話番号、名前、メールアドレス(、住所)は買い手に公開される。
  • 法人契約(月額約5000円)にする場合は、ほぼすべての閲覧者に電話番号を公開される。
  • 真贋調査対象とされた場合、365日以内に発行されたAmazonが指定する形式の購入書類が必要。今回は購入後数年は経過している書籍の販売のため、取得できず。
  • 真贋調査をクリアできない場合、商品の販売凍結。さらに進むとアカウントまるごと凍結。

sellercentral.amazon.co.jp

 

sellercentral.amazon.co.jp

 

sellercentral-japan.amazon.com

 

 真贋調査について一部引用する。これをクリアするのは、慣れていない人には非常に手間ではないかと感じた。

出品用アカウントを再開するには、本Eメールの末尾に記載されているASINについて、以下の情報をお送りください。

(中略)

仕入れ先から発行された、発行日から 365 日以内の請求書、領収書、契約書、配送注文書、または販売許可書の写し。記載されている商品数が出品者様の在庫と一致している必要があります。
出品者様がブランド所有者でない場合、販売許可書と、供給プロセスが有効であることを証明する書類一式 (販売許可書を含む)。
出品者様がブランド所有者である場合、ブランド登録証明書のコピーと、事業者免許または個人の身分証明書のコピー
仕入れ先の連絡先情報(名前、電話番号、住所、Eメール、ウェブサイトを含む)

 

出張買取を利用しなかった理由

 出張買取は選択肢として主要な候補だった。しかし、業者数が少なく、今回は断念した。

出張買取のメリット
  • 自ら書店に書籍を運ぶ必要はない。
  • 業者によっては梱包すら自らする必要はない。
  • 買取価格はその場で提示してもらうことができる。
出張買取のデメリット
  • 時間の調整は、宅配業者だけの出張買取よりも手間である。
  • 一定数の冊数を超えないと対応していない。
  • コロナ禍の昨今、普段関わりの無い業者の方を自宅に招き入れるのには抵抗がある。

 

宅配買取の利用

 結果として、今回は宅配買取を利用した。書籍を再び世に流すということも今回の目的の一つである。時間と手間を考えた結果、プロにお任せすることにした。

宅配買取のメリット
  • 自ら書店に書籍を運ぶ必要はない。
  • 宅配業者が書籍を詰め込んだ箱を受け取りに来てくれる。
  • インターネット上のサイトで、宅配業者の引き取り日を指定できる。
  • 状況によっては書籍の即日引き渡しが可能。
  • 買取価格は数日以内に提示してもらうことができる。
宅配買取のデメリット
  • 書籍の選り分け、梱包は自身で行う必要がある。
  • 宅配手数料がかかる。
  • 買取価格は高くない。
  • 身分証明書のコピーの送付(書面または電子データ)が必要。
  • 口座情報の提示が必要。
  • 銀行振込まで1-2週間程度を要する。
  • 処分対象とされて値が付かない本がある。一部は結局廃棄される。

 

実際に利用してみた結果

 今回はバリューブックスでの宅配買取を利用した。買取品、スケジュール、全体の値段について述べる。

買取品

 数年来利用していない書籍を100冊以上売りに出した。段ボール箱数箱分となった。

 ジャンルは専門書や漫画、その他さまざま。

 高い買取価格が付いたのは、長年読まれている専門書のうち、必読書とされるもの。1冊数百円の値となることもあった。

 他方で、1万円近くする読み手が限られる専門書が100円程度の評価となっているなど、疑問を感じる値付けもある。

 漫画については渋い。Amazonで最低単価1冊50円以上で出ているものが、全巻揃えていても1冊あたり5円での取り扱いとなっていた。全巻セットだけメルカリ出品というのが効率が良いかもしれない。

 

スケジュール

 買取のスムーズさに関しては感服した。裏側の業務フローとシステム、宅配業者や振り込み連携などを教えてもらえたらと感じる。

  • 段ボールを事前に他社から別購入。
  • 梱包は事前に筆者自身で完了。
  • Webサイトからの申し込み。配送先情報等の情報や振込先、即日振込か振込前見積確認を入れるかを指定。
  • 翌日には宅配業者が受け取りに来た。場合によっては当日受け取りも可能。
  • 数日後に、査定完了の連絡。その結果での買取に応じるか、返送かを選択。
  • さらに数日後に入金。振込完了の連絡。

 

全体の値段

 送付全体の冊数の内、75%程度に値段が付いた。値段は10冊あたり300円程度

 買値は10冊あたり2万円程度のため、キャッシュバックされたのは買値の1.5%程度

 送付した段ボール1箱あたり500円の送付手数料を取られる。書籍のサイズによるが、1冊-50冊あたり500円、そこを超えると2箱目でさらに500円の手数料と思っておくとよいだろう。

 送料無料クーポンや、買取金額アップクーポンを出していることがあるので、Webサイト上でクーポンコードを入力するのが望ましい。

 バリューブックスの場合は個別に値段が出てくるので、思いの外安い、高いという話もできる。時間もあり、送料を負担していても儲かると思う読者の方は、フリマサイトで自分で販売してもいいのではないかと思う。

 それぞれの値段は出てこないが、よりお手軽なのは同社が運営する「Vaboo!」のサービスだろう。2021年12月は10%増での買取価格としているようである。元値が公開されていないので、その査定が妥当かは判別が難しいところではある。

www.vaboo.jp

 

まとめ

  本日は中古書籍の買取についてご紹介した。メルカリやAmazonの販売アカウント、出張買取、宅配買取などの手法がある。

 時間やノウハウがある方はメルカリやAmazonでの販売、書店持ち込みを選ばれてもよいだろう。買取り単価にあまりこだわらず、手間を減らしたい方には出張買取や宅配買取を推奨する。

 本を蒐集し続けるのではなく、解放しなければならないという囁きが聞こえた読者諸兄がいたら、上記のようなサービスを試してみてはいかがだろうか。