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英語学習ブログ:適切な教材の把握1「CEFR(セファール)」

今回の内容

 

 英語の実力がどのようにすれば伸びるかという悩みを抱えている方は多いのではないだろうか。

 例えば下記の悩み。

  • 高校や大学の卒業後、しばらく英語に触れていなかったが仕事で英語を利用しないといけない。
  • 大学院の入試に必要であり、英語の試験で高得点が必要である。
  • 文法やリーディングは何とかなるものの、リスニングやスピーキングはどうしても苦手。

 英語学習に悩むすべての方に知って頂きたいのが「CEFR」と「英語上達完全マップ」である。ご自身の現在の状況を把握し、対処すべき学習課題を把握するのにこの2つは役立つ。今回はCEFRについて紹介する。

 

 文部科学省の資料内のCEFRと試験の対照表である。*1

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各資格・検定試験とのCEFRの対照表:文部科学省

 

 

 

目次

 

トピック:CEFRについて

CEFRの概要

  CEFR(セファール)は「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR: Common European Framework of Reference for Languages)」の略称である。言語の枠や国境を越えて、外国語の運用能力を同一の基準で測ることが出来る国際標準として制定された。

 英語でもフランス語でもドイツ語でも、共通の物差しで言語運用水準を把握し伝えられる利点がある。

 CEFRには下記の特徴がある。欧州評議会(Council of Europe)の発行している資料より抜粋する。

 ヨーロッパ共通フレームワーク(Common European Framework)は、ヨーロッパ全体で言語シラバス、カリキュラムガイドライン、試験、教科書などを作成するための共通の基盤を提供する。 それは、コミュニケーションのために言語を使用するために言語学習者が何をしなければならないか、そして効果的に行動することができるように彼らがどのような知識とスキルを開発しなければならないかを包括的に説明する。この説明には、言語が規定されている文化的背景も含まれる。フレームワークはまた、学習者の進歩を学習の各段階で生涯にわたって測定できるように習熟度のレベルを定義する*2

 

余談:欧州評議会と言語政策

 欧州評議会は人権、民主主義、法の支配の分野で国際社会の基準策定を主導する汎欧州の国際機関である。1949年設立,47の加盟国,総人口8億人(欧州連合(EU):27の加盟国)。本部はフランスのストラスブール

www.mofa.go.jp

 

 欧州評議会の言語政策の理念は以下のとおりである。

 「異なった母語を話すヨーロッパ人の間のコミュニケーションと相互対話を容易にし、ヨーロッパ人の移動、相互理解と協力を推進し、偏見と差別をなくすことは、ヨーロッパで使われている現代語をよりよく知ることによってのみ可能になる。」*3

 

CEFRでのレベル分け

 

 CEFRでは、共通参照レベルを大きくA1(初学者)~C2(ネイティブスピーカー相当)までの6段階、細かくはPre-A1, A1, A2, A2+, B1, B1+, B2, B2+, C1, C2, Above C2の11段階に分けている。6段階のレベルは下記のようになっている。

 表の出典はブリティッシュ・カウンシルより。

www.britishcouncil.jp

 

段階 CEFR 能力レベル別に「何ができるか」を示した熟達度一覧
熟達した言語使用者 C2 聞いたり読んだりした、ほぼ全てのものを容易に理解することができる。いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠も論点も一貫した方法で再構築できる。自然に、流暢かつ正確に自己表現ができる。
C1 いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる。言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。社会生活を営むため、また学問上や職業上の目的で、言葉を柔軟かつ効果的に用いることができる。複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の詳細な文章を作ることができる。
自立した言語使用者 B2 自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる。母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である。幅広い話題について、明確で詳細な文章を作ることができる。
B1 仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる。その言葉が話されている地域にいるときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。身近な話題や個人的に関心のある話題について、筋の通った簡単な文章を作ることができる。
基礎段階の言語使用者 A2 ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄について、単純で直接的な情報交換に応じることができる。
A1 具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることができる。自分や他人を紹介することができ、住んでいるところや、誰と知り合いであるか、持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりすることができる。もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助けが得られるならば、簡単なやり取りをすることができる。

 

 4技能が計測されるが、試験によってCEFRに換算できる範囲は異なる。ご参考までにTOEIC L&Rを対象とすると、A2:スコア225~545,B1:スコア550~780,B2:スコア785~940,C1:945~, C2: 本テストに対応するものなしとなっている。

 TOEIC主催の国際ビジネスコミュニケーション協会より、対応表を掲載する。*4

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出典: ETS (2008) “Linking English-Language Test Scores Onto the Common European Framework of Reference: An Application of Standard-Setting Methodology

 

 CEFRでの対比は、英語だけに限らず、フランス語やドイツ語、はたまたヨーロッパ外の言語である中国語についてもマッピングされている。見やすい一覧があるので、ご興味があればぜひ下記のwikipediaを確認してほしい。

ja.wikipedia.org

 

まとめ

  CEFRを利用することで、下記の利点がある。

  •  言語学習全体における自身の立ち位置を把握することができる。
  •  対象の語学に対して、自身のレベルを知ることで学習の指針を得られる。

 弱点がリスニング、スピーキング、リーディング、ライティングのどこにあるのか。どのようなスキルを引き上げるべきかを知るために、まずは現状と目標をCEFRのレベル表と比較してほしい。 

  では、実際にどのような英語や語学の学習をすべきなのか。これについては次回「英語上達完全マップ」をご紹介したい。10年程度前から知られている内容ではあるが、参考となる点は多いはずである。

 

 

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