英語学習ブログ:適切な教材の把握2「英語上達完全マップ」
今回の内容
英語の運用スキルをどのようにすれば伸ばすことができるか。それには下記の2点が必要である。
- 自身の現在のスキルと目指すべきスキルレベルの把握
- 現在のレベルに適した学習方法の選択
本記事は、下記のような英語学習についての悩みをお持ちの方に向けての記事である。
- 高校や大学の卒業後、しばらく英語に触れていなかったが仕事で英語を利用しないといけない。
- 文法やリーディングは何とかなるものの、リスニングやスピーキングはどうしても苦手。
英語学習に悩むすべての方に知って頂きたいのが「CEFR」と「英語上達完全マップ」である。ご自身の現在の状況を把握し、対処すべき学習課題を把握するのにこの2つは役立つ。今回は「英語上達完全マップ」について紹介する。
前回の記事、「CEFR(セファール)」についての説明はこちら。
英語上達完全マップでは、複数の分野に切り分けて英語学習を行う。
英語上達完全マップの出典元ページはこちら。
旧ページはこちら。
目次
トピック:英語上達完全マップについて
英語上達完全マップの概要
「英語上達完全マップ」は森沢洋介氏が提唱している英語学習手法である。下記の8つの要素を組み合わせて、英語力の強化を図る。
- 音読パッケージ
- 瞬間英作文
- 文法
- 精読
- 多読(速読)
- 語彙増強=ボキャビル
- リスニング
- 会話
本学習法ではそれぞれについて教材を用いて学習を行う。自身の能力の伸長に合わせて、利用教材を変化させていく。
英語上達完全マップのレベル分け
「英語上達完全マップ」著者の森沢洋介氏は、語学は急に流ちょうに話せるようになるのではなく、薄紙を一枚ずつ剥いでいくように徐々に変化を繰り返し進歩すると語る。下記がその学習進捗のレベル感である。CEFR(セファール)とTOEIC Listening & Reading の得点換算表を追記している。*1
mutuno.sakura.ne.jp
CEFR | 英語上達完全マップ | 「何ができるか」 | TOEIC L&Rスコア予想 |
L7 | 外国語をあらゆる点で母国語と同等に使える、言語学上でいう狭義の意味のバイリンガル(英会話業者が軽軽しく口にする「バイリンガル」にあらず)で学習・訓練で達するレベルではない。 | - | |
C2 | L6 | 発音や表現にかすかなエキゾティズムが漂うが、ネイティブ・スピーカーと全く同レベルで話すことができる。英語を話す時にまったく文法・構文を意識せず、しかも文法的間違いを一切起こさない。複数のネイティブ間のくだけた会話も、映画・TVドラマも完全に理解できる。また、自然な文体でミスのない英文をすらすらと書くことが可能。 | 換算不能 |
B2-C1 | L5 | 英語で仕事、生活の会話全て流暢にこなせる。英語圏で暮らしても障害ほとんど無し。英語を話すことで疲れない。ネイティブ・スピーカーがスピードを落とさずに対等に話しかけてくるようになる。新聞・雑誌・ペーパーバックを寝転がって楽しんで読める。 しかし、複数のネイティブ同士の非常にカジュアルな会話の中に投げ込まれたり、早口でぞんざいな発音で話される映画やテレビドラマを見たりすると半分程度しかわからない。英文を書くと構文的にはほぼ正確だが、冠詞、前置詞の間違いやネイティブからみると不自然な文体が混じる。 |
900以上 |
B1-B2 | L4 | 英会話がかなりでき、英語のできる人で通る。読解も英字新聞などがかなりのスピードで読めるようになる。留学が可能。企業が従業員に求める英語力の上限。ネイティブ・スピーカーにこまかな部分を助けてもらえば仕事でも生活でも支障が少ない。自発的、積極的な努力をしないとこのレベルにとどまることが多い。 | 750-900 |
B1 | L3 | コミュニケーションの用に足る英語力の入り口。スピードや表現はかなり限られているものの、実のあるコミュニケーションが取れ始める。単独で海外旅行に行ってもそれほど不自由はしない。読解も簡単な内容なら速読ができ始める。 | 600~750 |
A2 | L2 | 大学受験時代に英語が得意だった人。センテンスによるコミュニケーションができ始める。しかし速度は遅く、表現がひどく限られる。読解は簡単なものをゆっくりと読める。 | 400~600 |
A1 | L1 | 一般的日本人のレベル。外国人に道で話しかけられたり、海外旅行をしても、知っている英単語を並べ、身振り手振りでコミュニケーションをとるのが精一杯。 | 400未満 |
(「何ができるか」出典:英語上達完全マップより)
適切な英語学習
英語学習、トレーニングの進め方
「英語上達完全マップ」において、トレーニングは下記の順番で進める。効率的な学習のために文法と瞬間英作文にて基礎を固めるところから始まる。
- 中学レベルの英語で英語の回路を作る。
- 大学受験レベルの文法・構文をマスターし、精読で正確な読解と基本語彙を獲得する。
- プレ多読(一般の本、新聞、雑誌類を読む準備)の導入、ボキャビルの開始。
- 学習期の終わり:多読、リスニング、会話などで大量の英語に触れる。獲得した語彙力で一般の本、新聞、雑誌等を利用する。
トレーニングの詳細についてはこちらで紹介されている。
また、「英語上達完全マップ」にて推奨している教材リストはこちら。ご自身に合うものを探して頂きたい。
実際に利用した教材
ブログ筆者が多用したのは、下記のような教材である。
・大学入試用文法解説書
・大学入試用英単語帳
・TOEIC単語帳
・TOEIC熟語帳
・TOEFL iBT単語帳
・英文解体新書
・NHK World English
・英会話フレーズ集
・ウェブ英会話サービスの利用
特におすすめなのはNHKラジオ講座である。平日は毎日何かしらの教材が更新される。ブログ筆者はテキストも利用するが、音声を聞き、シャドーイングするだけでもよい練習になる。
「実践ビジネス英語」と「入門ビジネス英語」が統合された「ラジオビジネス英語」、スクリプトと解説が平日は毎日提供される「ニュースで英語術」はリスニング力を上げるために特におすすめである。
筆者の英語スキルはレベル4相当とみている。4つのスキルは下記の状況である。さらなる成長が要求される水準ではあるが、ご参考となれば嬉しい。
TOEICスコア:
- 800点台後半、900点未満
読解:
- 簡易な英語記事は問題なく読める。
- The Economist誌の記事などは未知の単語が多数ある。
- 破格の構文の場合、意味を取るのに時間がかかる。
聴取:
- NHKの英語ニュースは聞き取りに問題がない。
- BBCのニュースなどは大部分を聞き取ることができる。
- 初めて会うノンネイティブの方の英語は、慣れるまで聞き取りが不完全、意味を理解できないことがよくある。
記述:
- 定型的な文章(英文メールなど)はすぐ記述することができる。
- 英語での資料作成ができるが時間がかかる。
- 表現の幅が少ない。複雑な内容は調べながらの記述となる。
会話:
- 日常会話は問題が無い。
- 仕事の会話について、打ち合わせで状況や意見を伝えることができる。
- 日本語で読んだ本の内容について、要約や他書籍との関連付け、現代社会との意味付けなど複雑なテーマについて語ろうとすると、表現が浮かばずに滞る。
まとめ
英語上達完全マップについて今回はご紹介した。適切な教材は現在のレベルと目標に応じて変化する。筆者自身もレベル5やレベル6(CEFRのC1,C2)を目指して学習継続中である。ぜひご自身のスキルの把握を行い、適切な教材や学習モデルを検索して、英語力を伸ばす参考にして頂きたい。CEFRや英語上達完全マップはそのための指針になるはずである。
*1:「英語上達完全マップ」内「英語力を解剖する」